バス内で起こりがちな5つのトラブルとその対処法を徹底解説
バス車内において、何らかのトラブルが起こってしまうということは少なくありません。
今回は、バス内で特に起きがちな5つのトラブルを紹介したうえで、その予防や対処はどうすればいいのかについてもご説明します。
バス内で特に起きがちなトラブル5選
バス運転手をはじめとしたバス乗務員が注意しておくべき、バス内で特によく起こりがちなトラブルとしては、以下の5つが挙げられます。
- 1.バスの到着時刻や発車時刻へのクレーム
- 2.乗客が運転手に話しかけてくる
- 3.バス停以外のところで乗りたがる、降りたがる
- 4.乗客同士の喧嘩
- 5.バス車内での転倒
それぞれのトラブルについて詳しく説明します。
1.バスの到着時刻に関するクレーム
バス内でもっともよく起こるトラブルとして挙げられるのが、到着時刻に関するクレームです。
バスは道路状況などにより定刻どおりに運行できないケースがあるということはバス停などにも記されているにもかかわらず、渋滞などで到着時刻が遅れてしまった際に「電車に間に合わないじゃないか」などというクレームが入れられるケースは非常に多いです。
2.乗客が運転手に話しかけてくるトラブル
乗客が運転手に世間話をするなど、何らかの話しかけをしてくるケースも珍しくありません。
話しかけてくる側の乗客は、その多くはまったく悪気はなく、単に話し相手がほしい、楽しい話を聞かせたい、という感じで話しかけているだけなのですが、運転手側としては運転への意識集中を阻害されてしまうという大きなデメリットと危険が生じるため、これも無視できないトラブルです。
3.本来の乗降場所とは異なる場所で乗ろう、降りようとするトラブル
バス停など本来のバスの乗降場所とは異なる場所でバスに乗ろうとする、バスから降りたいと言い出すトラブルもよくあるケースです。
「バス停から乗り降りするよりもここから乗り降りするほうが自分にとって都合がいい」「急にトイレに行きたくなったので降りたい」など理由はさまざまですが、乗客が本来の乗降場所を守ろうとしない、守れないケースはけっして少なくありません。
4.乗客同士の喧嘩
バス内で乗客同士が言い争いを始めるなど、バス内での喧嘩もよく起こりがちなトラブルです。
喧嘩の理由はさまざまですが、バス内においては「ある乗客のマナーについて別の乗客が注意をしたことがきっかけで言い争いになる」「ある乗客が自分なりのマナーや正義を他の乗客に押しつけて言い争いになる」などといったケースが特に多いです。
5.バス車内での転倒トラブル
バスの運転手がどれだけ安全運転を心がけようと、バス走行時に急カーブを曲がるケースもあれば、危険な飛び出しなどに対して急ブレーキをかけることもあるため、バス内で大きな揺れが発生する可能性をなくすこと自体は不可能です。
そしてその大きな揺れによって、バス車内で乗客が転倒し、ケガをしてしまうというトラブルも少なくありません。
バス内で起きがちなトラブル、その予防法と対処法
バス内で特によく起こりがちな5つのトラブル、その予防法と対処法についてそれぞれご説明します。
1.到着時刻のクレームには乗客に理解を求める説明をしよう
到着時刻・発車時刻のクレームに対しては、乗客に理解を求める説明をしましょう。
渋滞などで到着時刻が遅れるのはもちろん運転手のせいではないですし、バスはそういうこともあって当たり前の乗り物ではあるのですが、乗客もそうした大原則は理屈ではわかっていながらもイライラせずにいられない状態になっていることを理解しましょう。
こういう場合は「皆さまお急ぎのところ、渋滞によりバスが遅れてしまい、まことに申し訳ございません」などと繰り返し心をこめてアナウンスするなど、運転手側も申し訳ないという気持ちがあることを伝えましょう。
「心をこめてアナウンスする」という点がポイントです。
2.乗客からの話しかけに対してはバス内掲示と着席指示を
乗客が運転手に話しかけてこないようにするためには「走行中運転手に話しかけないでください」ということをバス内に掲示しておくことが何よりも大切です。運転手に話しかけること自体がやってはいけないことだと知らない乗客に対しては、これが非常に効果的です。
特に、運転席近くにはこうした掲示を目立つようにしておくといいでしょう。
それでも話しかけられてしまう場合は「走行中危険ですので」ということを前面に出しながら、バス停に停止するまで座席に座ってもらうようお願いすることを徹底しましょう。
3.バス停以外のところで乗りたがる、降りたがるお客の要望は基本的には聞き入れない
バス停以外のところで乗りたがる、降りたがるお客の要望は基本的には聞くべきではありません。
たとえば路線バスに乗り遅れたお客が、バスを追いかけてきて乗せろと迫ってくるケースはよくありますが、道路運送法上、路線バス事業は事業計画によって路線や停留所の位置などを特定したうえで国土交通大臣の許可を受けるというスタイルをとっています。
もしバス停以外のところでお客を乗せてしまうと、許可を得ていない場所での乗降という状態になってしまうため、法律違反扱いとなります。もちろん「家がここから近いから降ろしてくれ」などという要望に応えてしまうのも、同様に法律違反です。
ただし、高速バスやツアーバスなどの場合、乗客がどうしても急にトイレに行きたくなった、気分が悪くなったという場合などは最寄りのSAに行くなど、柔軟な対応が認められます。
ただし、どんな理由でも柔軟に対応しようとすると乗客側からキリのない要望が出てしまうリスクがありますので、あくまでトイレや気分が悪いなどの緊急事態のみ対応、という形にしておきましょう。
4.乗客同士の言い争いに対してはまず着席指示を
乗客同士が言い争うなど喧嘩に発展してしまった場合は、まず着席指示のアナウンスをするといいでしょう。どちらか、あるいは両者が立ち上がってヒートアップしているところで着席をうながされるとトーンダウンする可能性が高いのでおすすめです。
また、車内に「バス内で大声や騒音を発する行為はお控えください」という掲示をしておくのもいい手です。この掲示をしておけば、大声での言い争いになった際にも「恐れ入りますがバス内で大声を出す行為はお控えください」とごく自然にアナウンスしやすくなるというメリットがあります。
5.バス車内での転倒防止は徹底的な呼びかけが必要
バス車内での転倒事故発生を予防するためには、バス内での徹底的な呼びかけが必要です。
高速バスやツアーバス、送迎バスならきちんと着席してシートベルトをしてもらうよう徹底アナウンスするのはもちろんのこと、着席できない乗客もいる路線バスの場合は、座席に座れない場合は必ずつり革や握り棒を握ってもらえるよう、繰り返し車内アナウンスをしましょう。
バス内のトラブルは車内掲示とアナウンスで予防・対策しよう
バス内でよく起こりがちなトラブルは、車内掲示を工夫し、さらにアナウンスを徹底することでかなりの予防・対処ができるようになります。
「乗客全員がバス内のルールやマナーをきちんと理解しているわけではない」ということを念頭に、車内掲示は乗客の目につきやすい場所を意識して掲示し、アナウンスについては一度だけでなく繰り返しおこなう、ということを心がけましょう。