バスに電子マネーを導入して外国人旅行者の利便性を高めよう
バスの運賃支払いに電子マネー決済を導入するバス事業者が増加傾向にあります。電子マネー決済を導入すれば利便性が高まりやすくなり、バス利用者を増やすことも可能となるでしょう。
本記事では電子マネー導入が必要な理由や、各バス会社の動向についてご紹介します。
バスへの電子マネーの導入が重要な理由
現在、日本国内の各地を走るバスで電子マネーの導入が急速に進んでいます。バスの電子マネー決済では、鉄道会社が発行するSuicaやICOCA、PASMOなど多くの種類があります。また、流通系電子マネーのWAONやnanaco、クレジットカード系電子マネーのiD、QRコード系電子マネーのPayPayなどもバスの運賃支払いに利用できることがあります。
バスの乗降に電子マネー決済を導入する際には、専用の機器を設置するなどの対処が必要となります。電子マネー決済の整備にはまとまった費用がかかるため、導入は計画的に進めたいものです。
たとえ初期費用がかかったとしても、電子マネー決済にはそれを回収するだけの効果が見込めます。特に、電子マネーの導入によって利用者の増加が期待できるという点は大きいものです。既にバス利用時の電子マネー決済が当たり前になっている国も少なくありません。日本を訪れる外国人は、電子マネー決済ができる路線を選んでバスを利用することもあるでしょう。外国人観光客の需要を見越して、電子マネー決済の導入に踏み切るというバス事業者も存在します。
また、バスの乗り降りがスムーズになる点や、ほかの交通機関とシームレスに連携できる点も、電子マネー決済の魅力です。バスの利用者減少が問題となっている今だからこそ、電子マネー決済の導入は重要な意味をもつのです。
バスへの電子マネー導入に関する動向
バスの利用というと、以前は小銭を用意するかバス券、バスカードなどを購入するのが当たり前でした。しかし近年では、多くのバス事業者が電子マネーの導入を進めています。
ここからは、バスに電子マネー決済を導入している3つの事例について紹介していきます。
福井県のバス事業者における事例
福井県の京福バスと副鉄バスは、2024年までに県内の路線バス全車両すべてに対する交通系ICカード利用を導入することを決定しました。
2024年には、北陸新幹線延伸によって福井県内に新幹線駅が開業します。新幹線駅開業後には観光客の大幅な増加が見込まれることから、福井県では現在京福バス122台、副鉄バス27台に対してカード読み取り機の導入を進めています。
2024年以降は、福井県内の鉄道とバスのすべての車両でSuicaやICOCAなど10種類の交通系ICカードを利用できるようになります。
北海道のバス事業者における事例
北海道の一部バス区間では、電子マネーWAONを用いた運賃決済システムの運用が既に始まっています。
電子マネーWAONによる決済が導入されているのは、北海道のくしろバスや阿寒バス、十勝バスといった路線です。路線バスの電子マネー決済システムは、大分市に本社を置くモバイルクリエイト社によって開発されました。
このシステムでは、くしろバスや阿寒バス、十勝バスを利用する際の多区間運賃決済が可能となります。また、バス利用者には自動的にWAONポイントが付与されます。
山口県のバス事業者における事例
山口県の防長バスは、2022年から2023年にかけて、交通系ICカードICOCAの導入を順次進めています。2023年3月までには設備の導入が整い、サービスを開始する見通しとなっています。
電子マネー決済が利用できるのは山口市、周南市下松市、光市などを運行する路線です。また、観光地として人気を集める萩エリアを運行する萩循環まぁーるバスにおいても、電子マネー決済が導入されます。
なお山口県では、広島行きなど高速バスの一部区間でも電子マネー決済が可能となっています。
バスに電子マネーを導入するメリット
バス会社が電子マネー決済を導入することには数多くのメリットがあります。利便性向上のためにも、ぜひ電子マネー決済の設備を整えたいものです。
ここからは、電子マネー決済システムを導入するメリットについてチェックしていきましょう。
小銭の用意が必要なくなる
バス運賃は数百円という金額になることが多いため、現金で支払う場合には小銭の用意が必要となります。バス利用のたびに小銭を用意することを面倒に感じる乗客も少なくありません。
乗客が運賃分の小銭を持っていなかった場合には、車内で両替をするなどの対処が必要となります。バス車内の両替機は1万円札など高額紙幣の両替に対応していないケースもあり、乗客が困惑しているシーンもたびたび見られます。
電子マネー決済を導入すれば、小銭を用意せずにバスに乗車することが可能となります。車内で両替をする手間も省けるため、快適にバスを利用してもらえます。
運賃の支払いに時間がかからない
現金によるバス運賃の支払いには多少時間がかかってしまいます。小銭を出すのに手間取ってしまう乗客もいるため、降車する乗客が多いときには数分にわたってバスを停車させなければならないこともあります。
現金決済に比べて時間がかからないのが電子マネー決済の特徴です。カードをかざすだけで決済ができるので、運賃支払いの時間短縮につながりやすくなります。また、バスの乗務員がお客様対応を行う際の負担が軽減するというメリットもあります。
外国人でも使いやすい
日本のバスに慣れていない外国人観光客にとって、バス運賃の支払いは決して簡単なものではありません。どのくらい小銭を用意すればいいのか、小銭がなかったときにはどうすればいいのかと悩んでしまい、バスをうまく利用できないというケースもあるかもしれません。
電子マネー決済を導入していれば、外国人でも手間なく決済を行えます。諸外国では既に多くの施設で電子マネー決済が導入されているため、「交通機関の決済は電子マネーで行うのが当たり前」と考えている外国人もいます。
他の交通機関と連携できる
鉄道系ICカードをバスでも使えれば、乗客は電車からバスへ、バスから電車へとシームレスに乗り換えができ、利便性が大きく高まります。バスへの電子マネー決済導入を機に、ほかの交通機関と連携するといった工夫を行うのもいい方法です。
感染症対策になる
電子マネー決済導入は感染症対策にもつながります。バス運賃の支払いの際には密な接触や会話が起こることがあります。小銭の運賃をやり取りする中で、思わぬ感染が起こる例もあるかもしれません。
電子マネーによる決済を導入すれば非接触で運賃の支払いが済むため、感染リスクを大きく下げることが可能となります。
バスの乗降に利用できる電子マネー決済を導入し利便性を高めよう
バスの運賃支払いで電子マネーを利用できるようになれば、顧客は小銭を用意したり両替したりといった手間を省くことが可能となります。また、バス乗務員がお客様に対応する時間を減らすこともできるため、効率アップにつながります。
バスの運賃支払いに電子マネー決済を導入する事例は、ご紹介したもの以外にも数多くあります。さまざまな事例をチェックし、最適な方法で電子マネー決済の導入を行いたいものです。