バスの事故が発生する原因は?事故防止のポイントを詳しく解説
業務でバスを運転する際に、特に注意したいのが交通事故発生のリスクです。
バスの事故が発生する原因は複数あるため、日頃から事故防止策を徹底し、リスクを抑えることが大切です。
そこで本記事では、バスの事故が発生する主な原因やバスの事故を防止するためのポイント、そして古くなったバスを買い替えるべきタイミングについて解説します。
バスの事故が発生する原因
バスの事故が発生する原因には以下のようなものが挙げられます。
ドライバーの不注意
バスのドライバーが注意を怠ることで事故が発生することがあります。
脇見運転やハンドル操作の誤りといったミスの他、車間距離の詰めすぎ、スピードの出し過ぎ、「止まるだろう」「曲がるだろう」といった「だろう」運転、漫然運転による気の緩みなど、ドライバーの不注意にもさまざまなパターンがあります。
これらは一般の乗用車にも共通する要素ですが、バスは多くの乗客を運んでいるため、急ブレーキを踏みにくい傾向があり、それが事故に繋がることもあります。
ドライバーの急病
バスのドライバーが急に体調を崩すことで事故が起きる場合もあります。体調不良により注意力や集中力が低下し、通常では発生しないミスが生じる可能性があります。
また、急病によってドライバーの意識が朦朧としたり、失われたりした場合、コントロールを失ったバスが思わぬ大事故を起こしてしまうリスクもあります。
バス点検の漏れ・不備
バスは3カ月ごと、12カ月ごとに法定点検を受ける義務があります。
ただ、送迎や観光業務などに利用されるバスは毎日のように運行されているため、法定点検だけでは不十分な場合があります。
もし点検に不備があり、故障や不具合が見落とされた場合、バスの運転中にブレーキが効かない、ハンドルが制御できないといったトラブルが発生し、大事故に繋がる可能性があります。
バスの老朽化
日頃からこまめにバスの点検を行っていても、車体の劣化や老朽化は避けられません。
バッテリー関連や燃料関連のパーツに劣化や腐食が発生すると、配線のショートや燃料漏れなどを起こすリスクが高くなり、場合によっては火災に発展することもあります。
また、タイヤのボルトやナットが劣化していた場合は、走行中にタイヤが脱落し、そのタイヤが歩行者や物に直撃するおそれも考えられます。
バスの事故を防止するポイント
ここでは、バスの事故を防止するために実施したい対策や、気を付けたいポイントを5つご紹介します。
リスク管理を徹底する
バスの事故が発生する原因や過去に起こった事故の統計などをもとに、社内の現状の分析・評価を実施しましょう。
なぜ事故が起こったのか、その背景にはどのような事情があったのか、などの要素が明確化されれば、どのような対策が必要なのか自ずと見えてきます。
社内教育を徹底する
ドライバーの不注意による事故は、運転に対する姿勢や業務への意識改革によって改善することが可能です。
全ての従業員に対して必要な教育や研修を実施し、運転に対する姿勢や守るべき運転・交通ルールなどを教示することで、日頃から安全運転を心掛ける意識を持たせることが大切です。
従業員の健康管理
体調不良や急病による事故を防止するには、日頃から従業員の健康管理を徹底しておく必要があります。
定期健康診断はもちろんのこと、日常の様子を観察し、体調不良を起こしていないか、いつもと変わった様子はないか、などいち早く異変を察知する体制を整えておくことが大切です。
また、体調不良は過労に起因している場合もあるため、無理な運行スケジュールを強いていないか、長時間労働が常態化していないか、なども併せてチェックし、必要に応じて改善を行いましょう。
社内コミュニケーションの活性化
社内の上層部と現場の間の風通しが悪いと、トップが提案した安全策が現場に浸透していない、あるいは現場からの意見がトップに伝わっていないなど、さまざまな問題が発生しやすくなります。
社内コミュニケーションが不足していると、安全策の構築や普及に悪影響を及ぼすおそれがあるので、社内での情報をスムーズに共有できる仕組みやシステムを整えておきましょう。
こまめな点検整備
バスの法定点検は3カ月ごと、12カ月ごとに行われますが、それ以外にもこまめな点検整備を徹底することが大切です。
例えばある会社では、長距離運転が主となる夜行バスを1往復ごとに点検するルールを設けたり、部品に目立った不具合や劣化が見られなくても計画的にパーツを交換したりと、独自の取り組みを行っています。
バスを買い替えるべきタイミング
日頃の点検・整備でパーツの不具合や劣化が見られたら、部品を交換したり、修繕を行ったりするのが一般的です。
ただ、バスの状態によっては修繕や交換ではなく、バスそのものを買い替えた方が良い場合もあります。
ここではバスの買い替え事情と、買い替えるべきタイミングについて解説します。
貸切バスの平均使用年数は8~22年と幅がある
国土交通省の資料によると、貸切バス事業の標準的経営を行っている事業者(標準能率事業者)の平均使用車両年数は地域や車両のサイズによって8年~22年とかなりの幅があります。
最も平均使用車両年数が短いのは東北地方で、中型が8年、小型が9年、大型が10年とワースト3を独占しています。一方、最も平均使用車両年数が長いのは九州地方で、中型が22年、小型が21年、大型が20年と、全国のトップ3を占めています[注1]。
東北は雪深い地域が多く、かつ東北六県全てが海に面していることから、融雪剤や潮風の影響などで車体が傷みやすい傾向にあるようです。
また、降雪や潮風の影響を受けにくい東京や大阪などの大都市を含む関東圏・近畿圏の平均使用年数も11年~14年と比較的短いです。これは、大都市の事業者の方が収益が安定しているため、新型車に買い替えやすいことが理由の一つと考えられています。
[注1]国土交通省:車両の減価償却費について(参照2024-01-30)
車両が古くなってきたら買い替えを検討すべき
上記のように、バスの買い替えタイミングは地域や運行状況などによって異なりますが、車両の劣化が目立ってきたり、不具合や故障の発生頻度が高くなってきたりした場合は、買い替えを検討すべきでしょう。
メンテナンスやパーツの交換、オーバーホール(機械製品を部品ごとに分解し、清掃・調整後に再度組立てて新品同様の性能を回復させる作業・検査)などを行えば引き続き利用できる場合もあるかもしれません。しかし長い目で見れば、大がかりな修繕やメンテナンスを頻繁に繰り返すよりも買い替えの方が節約になる可能性があります。
何より、古いバスは安全性も低下しますので、大きな事故を起こすリスクを防ぐためにも、適切なタイミングで計画的にバスの買い替えを検討することをおすすめします。
日頃のメンテナンスやリスク管理などを徹底し、バスの事故を防ごう
バスの事故が起こる原因には、ドライバーの不注意や急病、バス点検の漏れ・不備、バスの老朽化などが挙げられます。
重大な事故を起こさないよう、日頃からリスク管理や社内教育の徹底、従業員の健康管理の実施、社内コミュニケーションの活性化などに取り組み、事故を未然に防ぐよう努めましょう。
こまめな点検整備も大切ですが、劣化が目立つ場合や頻繁に不具合を起こす場合はバスそのものの買い替えを検討することが大切です。